テストステロンサスペンション

基本情報

構造

テストステロンサスペンションの構造式
分子式
C19H28O2
分子量
288.42 g/mol [1]
エステル
なし
主な構造修飾
なし(未修飾の水懸濁液)

性質

系統
テストステロン
投与経路
注射(水性懸濁液)
17αアルキル化
なし
AAR
100 : 100
半減期
24時間未満 [2]
有効期間
1日未満
エストロゲン性
[2]
アロマターゼ活性
[2]
プロゲスチン性
なし

歴史

誕生

テストステロンサスペンション(Testosterone Suspension)は、1930年代に開発された最も古い形態の注射用テストステロン製剤です。エステル化による遅延効果を持たせず、純粋なテストステロン結晶を水に懸濁させたものです。[2]

医療

かつては男性ホルモン欠乏症の治療に用いられましたが、現在はより痛みが少なく、血中濃度が安定する油性のエステル製剤に取って代わられています。現代の医療現場で使用されることは極めて稀です。[2][1]

ボディビル

「究極のバルクアップ剤」や「プレワークアウト」として、一部の競技者の間で熱狂的に支持されてきました。注射直後に血中テストステロン濃度が爆発的に上昇するため、トレーニングの強度を高める目的や、試合直前の極めて短期間の調整に利用されます。[2]

特徴とリスク

特徴

テストステロンサスペンションは、エステルを一切含まない純粋なテストステロンです。

  • 即時放出と爆発的ピーク: 注射後、テストステロンが直ちに血流に放出されます。エステル化されていないため、100mgのサスペンションは100mgの純粋なテストステロンを提供します(エステルの重量がないため、同じ用量の他の製剤より強力です)。[2][1]
  • 頻繁な注射の必要性: 効果が非常に短いため、血中濃度を維持するには1日に1〜2回の注射が必須となります。[2]

リスク

強烈な注射の痛みと膿瘍のリスク

水性懸濁液の結晶サイズが大きいため、注射時に激しい痛み(PIP)を伴うことが一般的です。また、油性製剤と比較して細菌が繁殖しやすく、不適切な管理による注射部位の膿瘍(感染)のリスクが非常に高いことで知られています。[2]

副作用の急激な発現

血中濃度が急激に上昇するため、エストロゲン変換による水分貯留や女性化乳房、およびアンドロゲン副作用(ニキビ、情緒不安定など)が、エステル製剤よりも唐突に、かつ激しく現れる傾向があります。[2]

心血管系への影響

赤血球産生の刺激も急激に行われるため、ヘマトクリット値の急上昇を招きやすいです。急激な血圧変動もリスクとなります。[2][3]

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、テストステロンはS1のアナボリック薬に該当し、競技会時・競技会外ともに禁止されています。[4]

出典

  1. PubChem: Testosterone (PubChem / NCBI / Overview)
  2. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  3. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
  4. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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