オキサンドロロン

基本情報

構造

オキサンドロロンの構造式
分子式
C19H30O3
分子量
306.44 g/mol [1]
主な構造修飾
17α-メチル、2-オキサDHT

性質

系統
DHT
投与経路
経口
17αアルキル化
あり [2]
AAR
322–630 : 24 [2]
半減期
約9.4〜10.4時間 [2]
有効期間
約8〜12時間
エストロゲン性
なし [2]
アロマターゼ活性
なし [2]
プロゲスチン性
なし

歴史

誕生

オキサンドロロン(Oxandrolone)は、1962年にG.D. Searle & Co.(現在のファイザー社)の研究者らによって開発された経口アナボリックステロイド(AAS)です。「アナバー(Anavar)」の商品名で知られ、副作用が比較的穏やかであることから、女性や子供への使用も考慮されてきました。[2][3]

医療

手術、慢性感染症、重度の外傷などによる体重減少後の体重増加の促進、およびステロイド長期投与に伴うタンパク異化の抑制などを目的としてFDAに承認されました。また、低身長児の成長促進や、重度熱傷の回復期における除脂肪体重の維持にも用いられます。[2][4][3]

ボディビル

副作用のリスクが低いと考えられているため、特に「カッティングサイクル(減量期)」において筋量を維持しながら体脂肪を減らす目的で好まれます。また、女性競技者の間でも最もポピュラーな薬剤の一つです。[2]

特徴とリスク

特徴

オキサンドロロンは、DHTの2位の炭素を酸素原子に置換(2-オキサ化)し、17位にメチル基を追加した構造を持ちます。

  • 高い同化・低アンドロゲン比: アンドロゲン作用を抑えつつ、高いタンパク同化作用を持つよう設計されています。そのため、男性化(多毛、声の低音化など)のリスクが他のステロイドより低くなっています。[1][2]
  • エストロゲンへの変換なし: 構造上エストロゲンに変換されないため、水分貯留や女性化乳房、血圧上昇などのエストロゲン由来の副作用が発生しません。[2]
  • クレアチン合成の促進: リン酸クレアチンの合成を強力に促進し、筋力を向上させる効果が報告されています。[2]

リスク

肝毒性

17αアルキル化(17aa)されていますが、他の経口ステロイド(オキシメトロンやメタンドロステノロンなど)と比較すると肝臓への負担は比較的軽いとされています。しかし、高用量や長期の使用は依然として肝機能障害のリスクを伴います。[2][3][5]

血中脂質への影響

肝毒性は低い一方で、HDL(善玉)コレステロールを減少させ、LDL(悪玉)コレステロールを増加させる作用は顕著です。心血管系への長期的なリスクを考慮する必要があります。[2][4]

自己産生の抑制

低用量では抑制が緩やかであると言われることもありますが、現実的な使用量(1日20mg以上など)では、LHやFSHの産生を抑制し、内因性テストステロンの低下を招きます。[2]

その他

一部のユーザーでは、消化器系の不調や食欲不振が報告されることがあります。

競技規制上の扱い

WADA禁止表では、オキサンドロロンはS1のアナボリック薬に該当し、競技会時・競技会外ともに禁止されています。[6]

出典

  1. PubChem: Oxandrolone (PubChem / NCBI / Overview)
  2. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)
  3. DailyMed: OXANDROLONE tablet (FDA Label) (DailyMed / NLM / Overview)
  4. The hypermetabolic response to burn injury and interventions to modify this response. Clin Plast Surg. 2009;36(4):583-596. (PubMed Central / Overview)
  5. LiverTox: Androgenic Steroids (NCBI Bookshelf / Overview)
  6. World Anti-Doping Agency: 2026 Prohibited List (World Anti-Doping Agency / Overview)
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