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注射ステロイドの選び方

注射AASでは、薬剤の構造説明よりも「ベースに何を置くか」「血中濃度をどの程度安定させるか」「副作用が出たときに抜けるまで待てるか」が分岐点になる。
テストステロンエナント酸エステルのような油性注射剤では、エステル化によって吸収と作用持続が変わる[1]

注射剤は、経口AASのような導入の手軽さはない。
その代わり、単一エステルのテストステロンなど、作用本体を比較的追いやすい構成がある。
ただし、注射剤なら安全という意味ではなく、E2、DHT由来症状、血算、血圧、注射部位管理が主な論点になる。

注射薬で先に決めること

判断項目評価軸
ベース薬テストステロン単体か、他剤を重ねるか
エステル短いほど調整しやすく、長いほど抜けに時間がかかる
注射間隔血中濃度の波と注射負担のどちらが大きいか
E2管理アロマ化する薬剤ではE2、血圧、乳腺症状
DHT由来症状脱毛、皮脂、前立腺、気分、性機能
19-nor系プロゲスチン作用やプロラクチン関連
血液検査血算、脂質、肝機能、性ホルモン

テストステロンはアンドロゲン受容体に作用し、アロマターゼでエストラジオールへ、5αリダクターゼでDHTへ変換される[2]
そのため、テストステロン注射では筋量や筋力だけでなく、E2、乳腺症状、皮脂、脱毛、血圧、ヘマトクリットが同じ評価面に入る。

初回で単純に保てる構成

構成原因分析注意点
単一エステルのテストステロン高いE2とDHT由来症状を分けやすい
テストステロン + DHT系脂質、脱毛、皮脂が重くなる
テストステロン + 19-nor系低いE2とプロラクチン関連が重なりやすい
混合エステル製剤ピークの重なりと注射間隔が問題になる
注射剤 + 経口AAS低い肝機能、脂質、E2、血算が同時に動く

初回で注射薬を比較するなら、単一エステルのテストステロンが軸になりやすい。
E2、DHT、HPTA抑制を比較的分けて評価できるためである。
強い変化を急いで複数薬剤を重ねるほど、どの副作用がどの薬剤から来たのかが曖昧になる。

エステルと注射間隔

エステルは、作用本体を別物にするというより、吸収と放出の時間幅を変える。
短いエステルは調整しやすい一方、注射頻度が上がりやすい。
長いエステルは注射頻度を下げやすい一方、合わないときに血中濃度がすぐには下がらない。

注射間隔が粗いと、血中濃度の波が大きくなり、E2、気分、皮脂、むくみ、性機能の変化が判定しにくくなる。
細かすぎる注射では、手技負担、注射部位の負担、衛生管理のミスが増える。
薬剤の性質だけでなく、管理を継続できるかが注射剤の選択に入る。

19-nor系を急がない理由

ナンドロロンやトレンボロンなどの19-nor系は、プロゲスチン作用やプロラクチン関連の切り分けが加わり、初回の原因分析を複雑にする[3]
女性化乳房との関係は、薬剤タイプ別のガイノ対策で作用経路ごとに分けている。

19-nor系を加えると、E2だけでは説明できない乳腺症状、性機能、気分、睡眠、心血管負担が問題になることがある。
テストステロン単体で何が起こるかを把握できていない段階では、追加薬剤の意味も副作用の原因も曖昧になる。

注射剤でも残るリスク

注射薬は17αアルキル化経口AASとは違うリスク構造だが、肝臓、脂質、血圧、赤血球、HPTA抑制が消えるわけではない。
テストステロン製剤の添付文書でも、長期使用時のヘモグロビン、ヘマトクリット、肝機能、脂質などの監視が記載されている[1]

リスク注射剤での評価
E2上昇アロマ化する薬剤では乳腺症状、むくみ、血圧
DHT由来症状脱毛、皮脂、ニキビ、前立腺、性機能
血算ヘマトクリット、ヘモグロビン、赤血球
脂質HDL低下やLDL上昇
注射部位痛み、腫れ、硬結、衛生管理
HPTA抑制LH、FSH、総テストステロン

注射AASの選択は、強い薬剤を探す作業ではない。
変化を追える構成を作れるか、異常が出たときに原因へ戻れるかが焦点になる。

ベース薬と追加薬

注射AASでは、ベース薬と追加薬を分けると構成が単純になる。
テストステロンをベースに置く場合、E2、DHT、血算、血圧の変化が主な評価軸になる。
そこへDHT系、19-nor系、経口AASを足すと、評価軸が増える。

追加する薬剤タイプ増える評価軸
DHT系注射剤脂質、脱毛、皮脂、前立腺関連
19-nor系プロゲスチン作用、プロラクチン関連、性機能、精神面
経口AAS肝胆道系、脂質、血圧
混合エステルピークの重なり、注射間隔、症状の波

追加薬が増えるほど、身体変化は大きくなる一方で、原因分析は難しくなる。
初回や検査体制が弱い状態では、強さより単純さの価値が大きい。

注射管理の破綻点

注射剤では、薬理だけでなく手技と衛生管理もリスクになる。
注射頻度を上げれば血中濃度の波は小さくできるが、注射部位の負担と手技ミスの機会は増える。

破綻点起きる問題
注射間隔が粗いE2、気分、むくみ、皮脂の波が大きくなる
注射部位の固定硬結、痛み、炎症が残りやすい
衛生管理の甘さ感染、腫れ、発赤のリスク
長いエステルの過信合わないときに抜けるまで時間がかかる
複数注射剤の併用症状の原因判定が難しくなる

注射薬の現実性は、薬剤の理屈だけでは決まらない。
注射を継続できる技術、部位管理、検査、異常時の判断まで含めて一つの管理体系になる。

関連ページ

出典

  1. DailyMed: TESTOSTERONE ENANTHATE - testosterone enanthate injection, solution (DailyMed / NLM / Overview)
  2. Endotext: Androgen Physiology, Pharmacology, Use and Misuse (Endotext / NCBI Bookshelf / Overview)
  3. Kicman AT. Pharmacology of anabolic steroids (British Journal of Pharmacology / 2008 / Overview)