抑うつや無気力は、AAS/SARMsのメンタル副作用で見落とされやすい症状です。怒りのように外から見えやすい変化ではなく、やる気が出ない、快感が薄い、ベッドから出にくい、自己評価が落ちる、オフに入るのが怖い、という形で進みます。
AAS離脱後には、低ゴナドトロピン性性腺機能低下が長く続き、疲労、性機能低下、抑うつが残ることがあります[1][2]。
抑うつが出やすい文脈
公開フォーラムの自己申告では、ナンドロロン系、LGD-4033、Ostarine、サイクル後の低テストステロン状態で抑うつや無気力が語られます。LGD-4033では快感低下や生活機能の低下、Ostarineでは既存の不安・抑うつの増悪、ナンドロロン系では無気力や関係不安を伴う沈み込みが目立ちます。
サイクル後のクラッシュでは、薬剤が抜ける、見た目や重量が落ちる、内因性テストステロンが戻らない、睡眠が乱れる、PCTへの不安が重なるため、単純な気分の問題として扱いにくいです。
確認用リンク:
- Worst mental health cycles
- LGDによるdepression報告(AnabolicMinds)
- Ostarine and depression
- SARMsのemotional/psychological side effects
低T、低E2、生活ストレスを分ける
抑うつが出たときは、総テストステロン、遊離テストステロン、LH、FSH、E2、プロラクチン、睡眠、摂取カロリーを合わせて見ます。低Tだけでなく、AIの使いすぎによる低E2、減量終盤のエネルギー不足、仕事や対人ストレスも同じような体感を作ります。
症状だけでは、ホルモンのどこが崩れているかは決まりません。血液検査なしにPCT薬やAIを足すと、別の不調を作ることがあります。
危険サイン
- 自傷念慮、希死念慮、急な絶望感
- 仕事、学業、家事、対人関係が明確に止まる
- オフに入ると強い不安や使用継続衝動が出る
- 性機能低下や不眠と抑うつが同時に続く
これらは「サイクル後は誰でも落ちる」で済ませる状態ではありません。AAS依存や離脱期の問題は医療文献でも論じられており[3]、精神面と内分泌面を同時に評価する必要があります。
出典
- Kanayama G, et al. Prolonged hypogonadism in males following withdrawal from anabolic-androgenic steroids: an under-recognized problem. Addiction. 2015;110(5):823-831. (DOI / Overview) ↩
- Solanki P, et al. Physical, psychological and biochemical recovery from anabolic steroid-induced hypogonadism. 2023. (PubMed Central / Overview) ↩
- Kanayama G, et al. Treatment of anabolic-androgenic steroid dependence: emerging evidence and its implications. Drug and Alcohol Dependence. 2010;109(1-3):6-13. (DOI / Overview) ↩