蛋白同化アンドロゲンステロイド(AAS)や選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARMs)を始める前には、薬剤名よりも先に血液検査、家庭血圧、食事、トレーニング、PCT方針が必要です。これらがないまま始めると、オン中に体重が増えても、何が効いて何が悪化したのか分からなくなります。
開始前チェックは安全確認だけではありません。サイクル後に元へ戻ったかを判定するための本人の元値です。
開始前検査
ホルモン値は回復判定に必要
総テストステロン、遊離テストステロン、LH、FSH、SHBG、E2は開始前に必要です。AAS中はLH/FSHが抑制されやすく、SARMsでも総テストステロンとLH/FSHが落ちることがあります。開始前の値がなければ、終了後に参照範囲へ入っても本人の元値へ戻ったとは言えません。PCT後に参照範囲内でも開始前より大きく低い場合は、回復不足です。
脂質、肝機能、CBC、腎機能を同時に取る
HDL、LDL、ApoB、AST/ALT、GGT、ビリルビン、ヘモグロビン、ヘマトクリット、クレアチニン、eGFRを同じタイミングで取る。血液検査ガイドでは、血液学、肝腎機能、HDL/LDLや中性脂肪、鉄関連指標までを一つの健康確認として並べている。経口AAS、RAD-140(テストロン)、LGD-4033(リガンドロール)、ボルデノン、体重増はここを動かしやすい。開始前からHDLが低い、ALTが高い、ヘマトクリットが高い場合、サイクル本体より先に詰まる。
生活データ
家庭血圧と安静時心拍数
テストステロン、ジアナボル、アナドロール、ボルデノンでは、水分、体重、ヘマトクリット、血圧が同時に動きやすい。開始前から朝晩の家庭血圧と安静時心拍数を数日分取っておくと、オン中の上昇幅が見える。診察室の一回値だけでは、睡眠不足、カフェイン、緊張の影響が混ざる。
食事とトレーニングの再現性
増量なら、起床後体重の週平均、摂取カロリー、たんぱく質量、主要種目の重量とレップが最低でも数週間そろっている必要があります。初回ガイドでは、体脂肪率15%未満、できれば10-12%程度、自然の増量と減量を一度は成功させた状態が出発点として置かれています。減量なら、体重が落ちるペース、空腹感、有酸素量、主要種目の落ち方を先に記録します。ここが揺れていると、4週目の体重変化を薬剤不足と誤認しやすくなります。
PCTかクルーズか
開始前にPCT方針を決める
PCTで自然状態へ戻る計画と、クルーズで長期管理へ入る計画は同じではありません。PCTでは、最終投与後に薬剤が抜ける期間、SERM期間、SERM後の血液検査までが一続きになります。クルーズでは、血圧、脂質、E2、ヘマトクリット、妊孕性を年単位で管理します。初回からクルーズを選ぶと、PCTで一度オフの体調と数値を確認する機会が消えます。
用意済みの薬は開始理由にならない
AI、SERM、hCG、カベルゴリン、タダラフィルが手元にあっても、開始できる状態とは言えません。介入薬が多いほど、E2、性機能、気分、視覚症状、プロラクチンの原因が複雑になります。開始前には、何を使うかだけでなく、何を使わずにテストステロン、経口AAS、SARMs本体の反応を確認するかまで決めます。
開始を延期すべき状態
検査と受診先がない
開始前検査、使用中検査、終了後検査を取れない状態では、抑制、脂質悪化、肝機能悪化、ヘマトクリット上昇を判定できません。異常値が出たときの相談先がない場合、ALT、血圧、乳首症状、メンタル悪化のどれが出ても対応が遅れます。
年齢、妊孕性、生活設計が未決定
24-25歳未満、トレーニング歴が短い、妊娠予定や妊孕性を話せない、長期TRT化を想像できない場合、薬剤の強弱より長期リスクが先に問題になります。若年者のリスクは若年者のAAS/SARMs使用リスクで詳しく説明しています。